本研究所は、地域に根ざしかつグローバルな文化いわばグローカル文化を支える
空間科学について広範な研究を行う。具体的には、以下のようなテーマで研究を進める。
広島市に2005年8月にできた空間科学研究所の分室を拠点にして、藤田敏三、
広島大学名誉教授を客員教授として迎え、高温発電ゼーベック素子材料と,
ペルティエ冷凍の具体的応用システムの構築、自然エネルギーをエネルギー元
とした熱音響現象システムの構築などの自給自足型未来エネルギーの研究を行う。
地域ごとの自給自足、フローエネルギーシステムにより、それぞれの
地域文化に立脚した多様な文明の共存を支える円滑な音響コミュニケーションの
確立を目指す。絶滅の危機に瀕している言語、人口の増加にともない新しく生まれる
言語を含めた多様な言語間のコミュニケーションを実現、さらに、少数言語を考慮した
異言語間コミュニケーションの促進するコミュニケーションエイドの確立、多様な観測により
コミュニケーションの要素抽出を行う。
ヒトの知能の本質と身体的コミュニケーションのメカニズムの研究を通じて、
21世紀に到来が予測されている共創と共存を可能とする知能型社会の編成に向けて、
その基礎理論を明らかにし、新しいディスプリンの確立を目指す。基本的には、
近年進歩の著しい脳科学の研究成果を踏まえ、人間と空間と知の関係を解明し、
人間の創造性を支援する社会(教育も含む)技術や地域における知的クラスターの
創出に向けた社会設計技術の開発を行う。
早稲田大学とユネスコは包括協定を結んでおり、
ユネスコの"New technology for culture"プログラムと連携し
「時がたてば消滅してしまう人間活動のあらゆる様相」を後世に残そう
という現代版地球文書館というべき研究を進めている。
また、限られた伝送容量のネットワークを介して、文化遺産、自然遺産の景観や音など、
空間をあるがままに伝送する研究を進める。
学校、大学の教育空間が備えるべき環境条件を明らかにし、マルチメディアに対応した
豊かな心を育む、地域に根ざしたグローバルな教育環境の実現を目指した研究を行う。
先人たちが限られた技術環境で実現した貴重な文化遺産をただデジタル化して保存する
最近の風潮、いわゆるデジタルアーカイビングではなく、彫刻、絵画、文芸作品、出土品などの
文化財を最新の技術を駆使して非接触、非破壊でそれらの三次元情報、材質を読み取り保存を試みる。
いわばミクロなバーチャルリアリティ技術を確立し、レコードやテープについてはその記録が
元来持っていた信号を再生する手法を確立する。